2017年 04月 15日 ( 1 )

三人の天才画家のこと・・・2017年4月14日

読書のほとんどを文庫本に頼っています。

単行本は高価で手が出ませんし、図書館での借り出し本は、期日に迫れて気が休まりません。

単行本での発表から文庫本化になるまで、1~2年くらいかかりますが、じっと我慢の子をしています。

そこへ行くと「文庫書き下ろし」作品はありがたいもので、歴史・時代物の多くをこれに頼っています。


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澤田瞳子という作家の作品は、ほとんど読んだことがありません。

この作家が、異能の画家「伊藤若冲」のことを書いています。

<「若冲」2015年4月単行本、2017年4月文庫化・・・文春文庫>


伊藤若冲は正徳6年(1716年)の生まれですから、昨年(2016年)は生誕300年になります。

それで昨年はNHKなどがさかんに彼の作品と人となりを映像化し、放映していました。

それをたびたび観ていましたので、さっそく上記の文庫本を買って読んでみました。

今の世に名を残す画家を挙げるとすれば、指を10本以上折らねばなりません。

ですがやはり、戦国時代の終わりから「安土桃山時代」の豪華絢爛たる文化の一翼を担った「狩野永徳」と「長谷川等伯」を挙げねばなりません。


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狩野永徳は、信長、秀吉に引き上げられ「狩野派」の地位を確固たるものにした画家です。

この永徳のことを「花鳥の夢」という題で、山本兼一が亡くなる1年前に力作を残しています。<2014年単行本、2015年3月文庫化>

長谷川等伯については、安部龍太郎が「等伯(上・下)」の題で力作を発表し、直木賞を受賞しています。<2012年単行本、2015年文庫化>


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澤田瞳子氏が「花鳥の夢」の書評で以下のことを言っています。

≪ 常日頃から親しい作家二人が、同時代のライバル絵師を同じタイミングで取り上げたのは、あくまで偶然と聞くが、それはとりもなおさず、この安土桃山という時代が、政治史のみならず美術史の上でも、非常に魅力に富んだ時代であるゆえと言えよう。

安部龍太郎氏は『等伯』の直木賞受賞時のインタビューにおいて、そんな有為転変の世に生きた等伯に言及した上で、「等伯は私である」とのお言葉を述べられた。

 ならばそれに対して私は、誤解を恐れることなく、

 ――永徳は山本兼一である

 と、ここで断言したい ≫

「若冲」の文庫本後書きを上田秀人氏が書いています。

「文庫書き下ろし」の名手、上田秀人氏が後書きを書くなんてことはめったにありません。それだけこの澤田瞳子の「若冲」がすぐれた作品なのでしょう。

ちなみに上田秀人の作品「禁裏付雅帳(四)策謀」で、若冲は「錦市場の世話役、枡屋茂右衛門」として、この巻の準主役を務めています。


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絵画の世界に疎い自分ですが、「若冲」を含めての上記三作品を読んで、歴史に名を成した芸術家の、作画に対するすさまじいばかりの生き様を知ることができました。


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by karucyu | 2017-04-15 19:59 | 日記 | Comments(4)